
インターネット回線でよく聞く「IPv6」という言葉が何を意味しているのか、気になっている人もいるかもしれないね。IPv6とはどのようなものか、メリットや注意点を詳しく見ていこう。
IPv6対応の通信回線なら、もっと快適にインターネットを利用できます。
動画視聴、ブラウザ・SNSの閲覧、ゲームのプレイなどをストレスなく楽しむために、IPv6の回線を検討している方もいるかもしれません。IPv6の接続では、利用者が多い時間帯も混雑が起こりにくく、安定して通信がしやすくなります。
この記事では、IPv6とは何か、接続方式の種類、メリット・注意点を解説します。
IPv6(Internet Protocol Version 6)は、IPv4に次ぐ最新のインターネットプロトコル(IP)です。IPv4のIPアドレス枯渇問題を解決するために開発されました。
インターネットプロトコルとは、インターネット上でデータを送受信するときのルールのことで、データをやり取りする際の共通言語として機能します。
インターネットプロトコルの仕組みのなかでは、「IPアドレス」と呼ばれるインターネット上の住所のようなものが、インターネットに接続している機器(パソコンやスマホ、ルーターなど)に割り当てられています。
IPアドレスで送信先が明確に識別されることで、インターネット上での通信が可能になっています。
IPv6とIPv4の大きな違いとして、使えるIPアドレスの個数が挙げられます。
| IPアドレスの桁数 | 使えるIPアドレスの個数 | |
|---|---|---|
| IPv4 | 2進数の32桁(32ビット) | 約43億個 |
| IPv6 | 2進数の128桁(128ビット) | 約340澗個(澗は10の36乗) |
IPv4のIPアドレスは、2進数の32桁で表されるのに対し、IPv6のIPアドレスは2進数の128桁で表されます。
その結果、IPアドレスの数は、IPv4が全世界で約43億個であるのに対し、IPv6は理論上約340澗個(澗は10の36乗)にのぼります。
当初は十分と考えられていたIPv4の約43億個も、インターネット利用者の急増に伴い、枯渇が懸念されるようになりました。
それに対し、IPv6の約340澗個という膨大な個数は、事実上枯渇の心配がないとされ、IPアドレス枯渇問題の解消につながると考えられています。
IPv6には、「PPPoE方式」と「IPoE方式」という2つの接続方式があります。また、IPoE方式での課題を解決する通信技術として「IPv4 over IPv6」というものがあります。
PPPoE方式、IPoE方式、IPv4 over IPv6のそれぞれについて、以下で見ていきましょう。
PPPoE(PPP over Ethernet)方式は、かつてダイヤルアップ接続やISDNなどの電話回線で使われていたPPP(Point-to-Point Protocol)という通信プロトコルを、ADSLや光回線でも利用できるようにした接続方式です。通信プロトコルとは、通信機器同士が正しくデータを送受信するためのルールです。
PPPはイーサネット上でカプセル化(データを包み込むこと)され、プロバイダまでの仮想的なトンネルを通じて通信されます。この仕組みから、「トンネル接続方式」とも呼ばれます。
また、PPPoE方式のIPv4では、プロバイダから書面などで案内されるユーザー名とパスワードを、パソコンやルーターに手動で設定する必要がありました。これはPPPの認証方式を利用して接続を確立するためです。
さらに、PPPoE方式では、プロバイダからインターネットへ橋渡しする地点で、ネットワーク終端装置を経由してユーザーを認証しますが、利用者が多いと装置に通信が集中して速度低下や帯域制限が発生しやすいという課題があります。
IPoE(IP over Ethernet)方式は、家庭内のLANと同じイーサネットの通信プロトコルのまま通信する接続方式です。
IPoE方式はイーサネットを前提とした仕組みのため、プロバイダからインターネットへ橋渡しする地点で、ネットワーク終端装置を経由する必要がありません。
そのため、PPPoE方式のようにネットワーク終端装置で通信が集中して速度が低下する心配がなく、安定した通信が可能です。
高速道路に例えると、PPPoE方式では料金所があるため混雑する可能性があるのに対して、IPoE方式では料金所がなく、スムーズに通行できるイメージです。PPPoE方式と比較すると、混雑時の通信速度の改善が期待できます。
また、通信網の帯域を広く活用できるため、その点でも通信速度の面で有利です。高速道路で例えると、より車線の数が多く、同時に多くの車が通行できるイメージです。
現在はIPv4とIPv6のWebサイトが混在しています。IPoE方式のIPv6のみを利用している場合、IPv6のWebサイトのみ閲覧でき、IPv4のWebサイトは閲覧できません。
この問題を解決するのが、IPv4 over IPv6という通信技術です。
IPv4 over IPv6 では、IPv4のデータをIPv6で包み込む「カプセル化」という処理によって、IPv6の通信経路を利用してIPv4のWebサイトにアクセスできます。
IPoE方式を採用する多くのプロバイダがIPv4 over IPv6に対応していて、PPPoEを経由せずIPv4サイトにもアクセス可能です。
IPv6の主なメリットは以下のとおりです。
| IPv6のメリット |
|---|
|
IPv6では、セキュリティ機能である「IPsec」が標準搭載されています。IPsecは、インターネット上でデータの暗号化や認証を行い、安全に送受信するための仕組みです。暗号化により、通信内容の盗聴や改ざんリスクを軽減できます。
IPv4は基本的にPPPoE方式に限られるのに対し、IPv6ではプロバイダによってPPPoE方式ではなくIPoE方式での接続が提供されています。
IPoE方式のIPv6通信は、ネットワーク終端装置が不要で、プロバイダからインターネットへ橋渡しする地点で混雑が起きにくい仕組みです。また、利用できる帯域も広いことから、PPPoE方式のIPv4通信に比べて高速な通信が期待できます。
PPPoE方式のIPv4では、プロバイダから書面などで案内を受けたユーザー名とパスワードを、パソコンやルーターに設定する作業が必要でした。
一方、IPoE方式のIPv6では、利用者自身でパソコンやルーターにユーザー名とパスワードを設定する作業は必要ありません。回線上で契約情報が自動的に判別されるため、ユーザー認証不要でインターネットに接続できます。
IPv6の利用をはじめる際の注意点としては、以下が挙げられます。
| IPv6の注意点 |
|---|
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IPv6を利用したい場合は、IPv6対応のルーターを選ぶ必要があります。利用者自身で購入する場合は、ルーターの対応を必ず確認しましょう。
なお、IPoE方式で接続するためには、IPv6 IPoE接続に対応したルーターが必要です。IPv6対応のルーターでも、必ずしもIPoE方式に対応しているわけではありません。製品ページやパッケージに「IPv6 IPoE対応」などの表記があるか確認しておきましょう。
IPv6の利用を検討しているなら、プロバイダがIPv6に対応しているかも確認しておきましょう。
また、ルーター同様、IPv6に対応していても、PPPoE方式とIPoE方式のどちらを採用しているかは、プロバイダごとに異なります。通信速度を重視する場合は、IPoE方式に対応したプロバイダがおすすめです。
現在利用中のインターネット回線で、IPv6への接続確認をする方法は、「IPv6への接続確認をする方法は?手順や注意点をわかりやすく紹介」で解説しています。
ドコモのモバイルサービス「ahamo」を契約すると、ユーザー専用の光インターネットサービス「ahamo光」※が契約できます。
ahamo光は、ドコモがフレッツ光回線の設備を使って提供する光回線で、IPoE方式でのIPv6接続に対応しています。全国的なエリアで利用できる「ahamo光 1ギガ」のほか、対応エリアでは「ahamo光 10ギガ」が利用できます。
| 月額(税込) | ||
|---|---|---|
| 住居の種類 | ahamo光 1ギガ | ahamo光 10ギガ※1 |
| マンション | 2年定期契約:3,630円※1 契約期間なし:4,730円 |
2年定期契約:5,610円※1 契約期間なし:7,260円 |
| 戸建 | 2年定期契約:4,950円※1 契約期間なし:6,600円 |
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光回線について、詳しくは「【簡単にわかる】光回線とは?従来との違いや仕組み、選び方を解説」でご確認ください。
また、ahamoの主なメリットは次のとおりです。
そのほかの記事でも特徴を紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
「100GB以上あればどのくらい使える?用途別の目安やデータ利用量の確認方法を紹介」
「ahamo(アハモ)はWi-Fiの代わりになる?テザリングの活用法も紹介」
「ahamo(アハモ)のメリットと気になる点を比較!プラン・サービスの特徴を徹底解説」
「ahamo(アハモ)の評判は?口コミからわかるメリットや注意点も紹介」
「ahamo(アハモ)に乗り換えるタイミングはいつが良い?料金や手順も解説」
「ahamo(アハモ)の注意点は?乗り換える前に知っておくべきポイントを紹介」
「ahamo(アハモ)は「めんどくさい/やめとけ」って本当?おすすめできるメリットとは」
IPv6の概要はおわかりになったでしょうか?
最後に今回の内容をまとめておきます。
IPv4の後継として登場した最新のインターネットプロトコルで、PPPoE方式とIPoE方式の2つの接続方式があります。
| 接続方式 | 概要 |
|---|---|
| PPPoE方式 | 電話回線によるインターネット接続で使われていたPPPという通信プロトコルを前提にした接続方式 |
| IPoE方式 | 家庭内のLANと同じイーサネットの通信プロトコルのまま通信する接続方式 |
IPv6のメリット・注意点は、以下が挙げられます。
| IPv6のメリット |
|---|
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| IPv6の注意点 |
|---|
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IPoE方式のIPv6通信では、PPPoE方式で使われる認証用のネットワーク終端装置を経由しないため、混雑が起きにくく、利用できる帯域も広いことから、より高速な通信が期待できます。ぜひIPv6対応の回線で、快適にインターネットを利用していきましょう。
■監修者情報
大岩 俊之(おおいわ としゆき)
家電製品総合アドバイザー。スマートマスター。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。